【SAP】MM(購買管理)からFI-APまでの業務フロー、基本的な在庫/調達プロセスの解説記事

はじめに

SAP MM(購買管理)からFI-AP(債務管理)まで、どのようなプロセスを辿るのか解説します。

MMの業務フローとは

MMの業務フロー、つまり在庫/調達プロセスは以下の4つで構成されています。

①購買依頼(PR:Purchase Request)→②購買発注(PO:Purchase Order)→③入庫(GR:Goods Recipt)→④請求書照合(IR:Invoice Received)

4つの各プロセスは以下のような役割を持ちます。

①購買依頼:発注したい品目・数量を購買依頼伝票に登録する。
②購買発注:購買依頼をもとに仕入れ先(Vendor)の割り当てや価格を購買発注伝票に登録する。
③入庫:購買発注伝票と仕入れ先から届いたものを検品/検収し、在庫計上をする。
④請求書照合:購買発注伝票と入庫時の納品書をもとに買掛金を計上する。
④で買掛金を計上した後はFI-APの領域で、⑤買掛金の支払いを行います。

ここからは各プロセスの詳細について解説します。

4つのプロセスのフローの流れ

①購買依頼(PR:Purchase Request)

基本情報

トランザクションコードME51N
入力者購買をしたい部門
登録先テーブルEBAN:購買依頼
伝票登録に必要なマスタ(テーブル)MARA:品目マスタ
T001W:プラントマスタ
T001L:保管場所マスタ

概要

材料や部品などの購買したい品目と必要数量を、部門(設計・技術部門など)が入力し、購買依頼伝票とその伝票番号を発行され、購買部門へ情報がきます。

イメージとしては、

買い物リストを作成し購買部門へそのリスト渡す作業です。

社内の依頼伝票のため、実際に発注を行う購買発注伝票より簡素化されてる伝票です。

購買依頼伝票の構造

購買依頼伝票はヘッダーと明細の2段構造になっています。しかしヘッダーはテキストの情報しか持たず、全てのデータは明細レベルで情報を持ちます。

そのためテーブルもヘッダー/明細で分れずEBANの1つで両者のデータを保持しています。

購買依頼伝票の入力する項目は次の通りです。

購買依頼伝票の入力項目

  • 品目コード:購買したい材料・部品そのものです。品目マスタに登録されている品目から選択します。
  • 数量:必要数量を入力します。
  • 納期:材料や部品を必要とする期日を入力します。
  • プラント:プラントとは、在庫数量や在庫金額の管理する組織単位です。プラントマスタに登録されているプラントから、どこに購買する品目を計上するかを選択します。
  • 保管場所:プラントより細かい在庫管理する組織単位です。

②購買発注(PO:Purchase Order)

基本情報

トランザクションコードME21N
入力者購買部門
登録先テーブルEKKO:購買伝票ヘッダ
EKPO:購買伝票明細
伝票登録に必要なマスタ(テーブル)E024:購買グループ
E024E:購買組織
LFA1:仕入先
MARA:品目マスタ
T001W:プラントマスタ
T001L:保管場所マスタ

概要

実際に購買したい品目を仕入先とやり取りする伝票を作成し、発注します。

購買依頼伝票で入力された項目に加え、仕入先の割当/価格の設定が必要になります。

また、この操作は購買部門が実施するため、購買依頼伝票での入力項目に加え購買グループ/購買組織データの入力も必要になります。

購買発注伝票の入力する項目は次の通りです。

購買発注伝票の構造

ヘッダ-明細-納入日程の3段構造になっています。

各構造は以下順のレベルの構成され、データを持ちます。

  • ヘッダ:仕入れ先、支払条件、販売組織/販売グループ
  • 明細:品目、数量、価格、プラント、保管グループ
  • 納入日程:日程、数量

明細の下に納入日程があることで、1明細ごとに日付・数量を仕入れ先に依頼することができます。

購買発注伝票の入力項目

  • 仕入先:購買する品目の仕入先です。
  • 販売組織:会社内の購買の責任部門です。
  • 販売グループ:販売組織より更に細分化したグループです。
  • 品目コード:購買したい材料・部品そのものです。品目マスタに登録されている品目から選択します。
  • 数量:必要数量を入力します。
  • 納期:材料や部品を必要とする期日を入力します。
  • プラント:どこに購買する品目を計上するかを選択します。
  • 保管場所:プラントより細かい在庫管理する組織単位です。
  • 参照番号:③の入庫時に購買発注伝票と紐づけるために使用する番号です。

POの基本的な操作手順はこちらを参照ください。

③入庫(GR:Goods Recipt)

基本情報

トランザクションコードMIGO
入力者購買部門
登録先テーブルMKPF:入出庫伝票ヘッダ
MSEG:入出庫伝票明細
発生するFI仕訳借方:購入品(在庫)勘定
貸方:入庫請求仮勘定(GR/IR)
伝票登録に必要なマスタ(テーブル)E024:購買グループ
E024E:購買組織
LFA1:仕入先
MARA:品目マスタ
T001W:プラントマスタ
T001L:保管場所マスタ
T156:移動タイプ

概要

発注した品目が仕入先から届いたら実施する作業です。

購買発注伝票をもとに届いた品目・数量が合っているかどうかを検収します。

FI仕訳(会計伝票)が発生

入庫して検品することでFI、上在庫が発生し資産が増えたことになるので会計伝票が生成されます。

使用される勘定科目は、資産勘定:購入品(在庫)の勘定と負債勘定:入庫請求仮勘定(GR/IR)です。使用する資産:購入品(在庫)の勘定ですが、このトランザクションで入力する移動タイプによって決まります。

移動タイプとは、在庫が移動した場合にどのような会計伝票を生成するかを決めるもので、例えば、購買し在庫が外部から来た場合は移動タイプが101(在庫転記)を使用し、製品・原材料・貯蔵品等の資産勘定が設定されます。

さらにその中でどの勘定が設定されるかは、品目ごとの評価クラスによって決まります。
評価クラスとは、品目マスタが持つデータで、その品目が製品なのか・原材料なのか・貯蔵品なのかを区別ができるようにします。

入庫請求仮勘定(GR/IR)とは

この時点では在庫が届いているが請求書が届いておらず、買掛金勘定を使うことができません。

しかし在庫が発生しているので相手勘定は必要です。そこで使用されるのが入庫請求仮勘定(GR/IR)です。“仮”とついているのは、あくまで請求書が来て買掛金勘定にするまでの仮で使用するためです。

ちなみに英語表記ではGoods Received/ Invoice Receivedであり、GR/IR勘定と表現することもあります。

購買発注伝票の入力事項

  • 参照番号:②購買発注伝票の時に作成した参照番号を入力し、購買発注伝票の品目・数量等があっているかを検収します。
  • 移動タイプ:検収した在庫品を資産として計上するために、どのように在庫を転記するかを決めます。

④請求書照合(IR:Invoice Received)

基本情報

トランザクションコードMIRO
入力者購買部門
登録先テーブルMKPF:請求書伝票ヘッダ
RSEG:請求書伝票明細
BKPF:会計伝票ヘッダ
BSEG:会計伝票明細
発生するFI仕訳借方:入庫請求仮勘定(GR/IR)
貸方:買掛金(FI-AP)

概要

購買発注伝票・入庫伝票と仕入先からの請求書情報を比較に、品目・数・金額等が正しいかをチェックします。

ここでの処理が完了すると、FIの債務処理(FI-AP)に繋がっていきます。

発生するFI仕訳

③入庫時に使用した入庫請求仮勘定を反対仕訳で打ち消し、相手勘定を買掛金で仕訳されます。

買掛金に移ったことで、これ以降はFI-APに処理となっていきます。使用される買掛金勘定は、仕入先に紐づく統制勘定で決定されます。

統制勘定については以下の記事を参照ください。

⑤支払い(FI-AP)

④までの処理が完了することでFI-APにフローが変わります。

FI-APについての解説記事は後日書きます。。(2022/06/14現在)

まとめ

  • MMのFI-APまでのフローは4プロセスある
  • ①購買依頼は、購買したい製造などの部門が購買部門へ依頼する
  • ②購買発注は、購買部門から仕入先へ購買発注する
  • ③入庫は、仕入先から物が届き、品目・数などが正しいか検収する
  • ④請求書照合は、購買発注伝票・入庫伝票と比較し正しい請求であるか確認する。正しければ買掛金に計上され、MMのフローが終わりこれ以降はFI-APのプロセスになる。

Follow me!

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です