SAPとはなに?ERPとはなに?を人様に説明できるくらいに解説。
SAPとは、ERPとは
SAPとはSAP社「System Analysis and Program development(システム分析とプログラム開発)」が開発したERPパッケージシステムの一種。世界、国内トップシェアを誇る、ERPパッケージの代表格。
ERPとは「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」という意味で、企業の基幹業務(購買、在庫、管理、生産などのビジネスする上根幹となる業務)で必要となる情報を一元的に管理することにより、計画的かつ効率的に良い経営を目指そうという考え方。
ERPパッケージシステムとは、企業の基幹業務の情報を一元管理したシステムで、計画的かつ効率的に経営をサポートする。
まずはSAPの元になるERPシステムについて以下で詳しく解説。
ERPシステムの具体的な効果
会社内のシステムを全て一元化しシステム運用のコストを削減
会社の歴史を遡り、いままで企業がシステム構築は、各部門単位で業務効率化を図るシステム構築をしていったため、会社内で必要な基本情報であるマスターデータがシステムの数だけ存在していた。
例:
営業部には、販売管理システムがあり、マスターデータ「商品名、価格、取引先」が存在する。
購買部には、購買管理システムがり、マスターデータ「商品名、価格、取引先」が存在する
物流センターには、在庫管理システムがあり、マスターデータ「商品名、価格」が存在しする。
経理部には、会計管理システムがあり、マスターデータ「取引先」が存在する。
これらのマスターデータがシステムの数だけ独立して存在し、会社単位でみると同じデータでも2重、3重のデータが存在してしまうため、データになにか更新や修正があった場合、別のマスターのデータも同じ更新をして、整合性を維持するプロセスが必要なため無駄な作業が生じる。
例:
商品名:がりがりくん、価格:60円、取引先:アカギ乳業があり、価格が70円に変更されるとき、
営業管理システム、購買管理システム、在庫管理システムのマスターをそれぞれ更新する必要が生じてしまう。(3回も同じ作業が必要、、)
ERPシステムは、これらの独立したシステムを一元化することで、マスターデータを一つにし、システム運用やデータメンテナンスの作業コストを削減することができる。
(単純にシステムのモジュールが減るので、データ絡みの保守開発や障害対応とかの影響調査もしやすくなりますね!)
経営情報をリアルタイムに把握することが可能
いままで、システムの数だけマスターデータが点在していたため、各部門の状況を把握することは容易であっても、会社全体の正確かつリアルタイムな情報の把握は困難であった。
しかし、ERPシステムを導入でマスターデータを一つにすることで、会社単位の経営情報を把握することができるようになるため、今までは、誰かひとりの経験やスキルに依存する属人的かつ感覚的な意思決定から、客観的なデータに基づいた意思決定が可能となる。
ERPシステム導入によるデメリット
ERPシステム導入による恩恵は大きいが、システムの規模感が大きくなるため以下のようなデメリットが生じる。
システムのグランドデザインの作成に時間がかかる
ERPシステムは、会社全体の規模感からグループ会社全体、製造会社から販売会社まで6次産業の規模感の最適化を目指すシステムのため、現状の具体的な課題の問題の洗い出し、問題に対する解決策の検討など、要件定義からシステム化計画まで時間を要する。計画的に時間の浪費をせず、システムのグランドデザインを作るためにも、トップダウン方式で詳細かつ明確な方針を定めてマネジメント力が必要となる。
運用後の変更やシステム更改に時間がかかる
システムの規模感が大きいが故に、以下のような問題が生じる
- ERPシステム導入後、会社の組織変更や合併、分社や法改正などがあった場合、対応に時間がかかる。
- システムの保守開発・更改にあたり、運用中のシステムに影響が出ないように慎重な対応に時間を要する。
- ERPシステムの全体を見渡すことができる有識者が離任された場合、システムの保守開発・更改方針検討や影響調査が遅れ時間がかかる。
以上の問題が生じる可能性があるため、ERPシステム構築した先のことの検討や、人材育成計画を入念に練ることが重要となる。
SAPの種類
ここからはSAPのERPパッケージについて解説する。
S/4 HANA
SAP社最初の製品、「財務会計システム:RF」をベースにした最新版。SAPと巷で言われるSAPはこのS/4 HANAを差す。
オンプレミス(自社サーバー利用)、クラウドの両方が利用できるパブリッククラウドシステムになっており、UNIX、Linux、Windowsなどと連携可能なマルチプラットフォーム対応しているため、導入する企業の既存サーバーとの親和性が高く導入のハードルが低い。
(しかし、使用できるデータベースがSAP HANAのみとご指定)
基幹システムとしての業務の網羅性が高く、多様な業態に対応できる。
ECC
S/4 HANAの前バージョンのものであり、オンプレミス利用を中心に設計されたSAPである。また、ECCは2027年にサポートの有効期限が切れるため、ECCを利用する企業はS/4 HANAに移行が強いられており、これによりSAP従事者が足りずIT人材不足、2027年の壁と揶揄されたりする。
(もとは2025年までのサポートだったが2027年に延長された。)
SAP Businnes One
中小・中堅企業向けにECCの機能を少し減らしたシンプルな製品。
SAP Business ByDesign
SAP Business Oneのオンデマンド版。クラウドで利用できるSaaSのため、IT基盤を持つ必要がないため短期間で導入が可能
SAP・ERPシステムの今後の動向
企業は、アフターコロナによるリモートワークの促進、経営を最適化するために情報収集→分析→意思決定をする経営戦略が求められ、それらを可能とするDX化(Digital Transformation)が必須になる。
その中でSAP・ERPシステムはDX基盤に位置付けとして以下を期待される。
働く場所を問わないワークスタイル
クラウド・セキュリティの技術革新により、社員はどこにいても会社の情報にアクセスすることができ、リモートワークを促進する。
情報収集→情報分析による最適化
従来のERPシステムで一元化した基幹業務データに、「抽象的で不確かなビッグデータの収集→AI分析」したデータを組み合わせることで、潜在的ニーズ、潜在顧客を見越した意思決定を可能とする。
まとめ
- SAPとはERPシステムの一種で、世界・国内トップシェアを誇るERPパッケージシステム。
- ERPシステムは、会社内のシステムを一元化することで、システムの運用コスト削減・データ分析に基づく意思決定を可能とさせる。
- クラウド利用、ビッグデータ収集、AI分析と親和性が高く、企業のDX基盤となっていく。